北陸観測所


北陸観測所は北陸地域における微小地震活動,地殻活動,および地殻構造を調査するために1970年に設置された。本所(福井県鯖江市)の観測坑道内および福井,石川,滋賀県の計7カ所に地震観測点を持ち,1976年以降,テレメータによる微小地震観測が行われてきた。

約30年間におよぶ微小地震の震源分布は,福井地震断層から温見断層,根尾谷断層系につながる活動域,琵琶湖北部の柳ヶ瀬断層,湖北山地断層帯等に沿った活動域,白山等の火山直下の活動,および本所(鯖江市)を中心とする半径約10kmの明瞭な地震空白域等,この地域の微小地震活動特性を明らかにしてきた。また,これらの地震データにもとづいて北陸地域の地殻の三次元速度構造,地震のメカニズム解,地質構造と地震活動度との関係等も調べられてきた。特に,福井地震(1948年、M7.1)の震源断層とその周辺における活発な微小地震の発生特性は本観測所の重要な研究課題であり,これまで,弾性波探査による基盤層の上下変位,精密な震源分布,応力降下量の分布等が調べられてきた。今後,蓄積された地震データベースの総合的な解析等によりさらに詳細な調査を進める。

この他,本所の観測坑内(総延長460mの格子状)では広帯域(STS)地震計,伸縮計,鉛直振子傾斜計,三次元相対変位計,地電位計,等による観測が行われ,北陸地域の地殻構造の推定,地殻活動の特性が幅広く調べられてきた。