上宝観測所

506−1317岐阜県高山市上宝町本郷2296-2
TEL: 0578-86-2350
FAX: 0578-86-2858


上宝観測所は1965(昭和40年)に第1次地震予知研究計画に基づき,上宝地殻変動観測所として設置され,観測坑における地殻変動観測が開始された。その後,微小地震,全磁力,地電流,広帯域地震観測およびGPSなど観測項目を追加するとともに,能登半島などにも観測範囲を拡大し,中部地方北西部のデータの取得を行い,地震予知に関する基礎研究を進めている。平成2(1990)年には京都大学の地震予知関係機関が統合され,地震予知研究センターが設置されたが,その際,付属上宝観測所となった。

観測対象地域は跡津川断層系など多くの活断層が存在しており,1858年飛越地震(M7.0)をはじめ多くの内陸地震が発生している。観測所の設立によって,微小地震が跡津川断層で発生していることが発見されたことは特筆に値する。また,飛騨山脈は日本列島の中でも上宝地形的に特異な地域であり,最近のGPS観測では,歪み集中帯が見出されるなどテクトニクスの上からも注目されている。

観測所は地殻変動のための観測坑を有し,立山,宝立でも歪計および傾斜計による地殻変動連続観測を実施し,公衆回線によるデータ収集を行っている。また,跡津川断層を横断するGPS稠密観測も実施している。地震については,10点の衛星観測点において高感度地震観測を実施し,さらに5点の臨時観測点を公衆回線および衛星通信によって,データを収集するとともに,Hi-net観測点など他機関のデータを集積し,解析を行っている。また,上宝,立山および宝立では広帯域地震観測も実施している。跡津川断層の西端付近の西天生および能登半島の宝立では,プロトン磁力計による全磁力の観測を実施し,地磁気の変化に関する研究を行っている。

観測所は全国の大学による合同観測のための基地としても重要な役割を果たしており,平成16(2004)年から始まる跡津川断層歪み集中帯の合同観測でもその役割を担うことになっている。さらに,飛騨山脈には立山,焼岳など活火山が存在し,火山付近における地震活動の調査・研究も行っている。


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