逢坂山観測所


520−0054滋賀県大津市逢坂1
TEL: 077-524-0272


逢坂山観測所は,1970年に地震予知研究を目的として設立された。現在,長さ670メートルの主坑道とそれに交差する2本の分岐坑道内に各種の計測装置を設置して,主として地殻変動の観測を行っている。主坑道はかつて旧東海道線の鉄道トンネルとして建設されたものである。主な計測装置は,伸縮計と水位計である。伸縮計は20〜50メートル離れた二点間の距離の変化を10万分の1ミリメートルの精度で測定し,岩盤の歪の変化を検出する装置である。水位計は坑道内の岩盤に床面からさらに20メートルの深さに掘り下げた観測井の水位を測定し,岩盤内の微小な割れ目に掛かる水圧を測定している。この水圧は,通常は降雨によって生じる地下水の増減を反映しているが,何らかの理由によって周辺の岩盤に掛かる力が変化した場合には,それによる岩盤の歪を敏感に検知することに役立っている。一例として,1995年に発生した兵庫県南部地震の際には,地震発生の2〜3年前から通常とは異なる歪変化が生じていたことが分かっている。伸縮計と水位計の記録を総合的に調べることによって岩盤の微小な歪変化を捉え,地震発生に先行してどのような歪変化が現れるのかを解明することが目標である。

また,当観測所は小型可搬型歪計など,各種新型計測装置の開発実験の場としても利用されている。