京滋地震情報
2006年4月
(「京都新聞 2006年(平成18年)5月18日木曜日」に掲載)
内陸地震はなぜ起こる?
丹波山地の微小地震活動は、数年ごとに活動期と静穏期を繰り返しています。多くの研究者は「水」関係していると考えていますが、その原因はよく分かっていません。最近、地下深くの水の動きが見え始めており、今後の進展が期待されるところです。
微小地震だけでなく、なぜ内陸で大地震が発生するかという問題に関しても、数年前まではきちんと説明することができませんでした。理屈の上での話ですが、内陸で大地震を繰り返し発生させることは非常に難しいのです。
今世紀中ごろまで起こると予想されている南海地震など、太平洋沿岸のプレート境界で発生する大地震は、海洋プレートの沈み込みによって明解に説明されています。海洋プレートが日本列島の内陸のプレートを引きずり、耐えきれなくなったときに大地震が発生するというものです。
内陸の大地震についても、海洋プレートの沈み込みにより、内陸のプレートに徐々にひずみが蓄積されるためであると推定されています、しかし、プレート境界では大地震が周期的に発生するために、その近辺で蓄えられたひずみはその都度解放されてしまいます。そのため、数百年以上の長期間にわたって、内陸の断層にひずみを蓄積することは、理屈の上では簡単ではないのです。
(飯尾 能久・京大防災研究所地震予知研究センター助教授)