京滋地震情報

(おことわり)以下の文章および図は、京都新聞に連載されているものを転載したものです。

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2006年7月

(「京都新聞 2006年(平成18年)8月17日木曜日」に掲載)

下部地殻の水と地震

内陸の断層直下の下郡地殻がゆっくりと変形するために」断層に徐々にひずみか蓄えられ、限界に連すると大地震が発生するということが、内陸大地震の基本的な発生の仕組みであるという仮説を先月紹介しました。
 プレート境界では大地震の発生により、蓄えられたひずみが数十年程度ごとに解放されてしまいます。 しかし、プレート境界地震が起こった直後でも、沈み込む海洋プレートか内陸を押すカがゼロになってしまうわけではないので、下部地殻は押され続けていると考えられます。そのため、 下部地殻のゆっくりした変形が続くので、数百年以上にわたって断層ににひずみか蓄積され続けるのです。
 ところで、丹波山地の微小地震舌動には、「水」が関係しているのではないかという
話がありました。
 岩石実験の結果によると、下部地殻の条件下では、岩石は、水が豊富にあるほどやわ
らかくなります。したがって、水が豊富にある下部地殻の直上では、そうでないところに比べて、ひずみがたまりやすいと考えられます.
 最近、地下深くの水の動きが見え始めていることが紹介されましたが、下部地震の水
の分布を知ることにより、ひずみのたまりやすい地域を推定できる可能性があります。

(飯尾 能久 ・京都大防災研究所地震予知研究センター助教授)