京滋地震情報

(おことわり)以下の文章および図は、京都新聞に連載されているものを転載したものです。

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2006年8月

(「京都新聞 2006年(平成18年)9月21日木曜日」に掲載)

やっぱり関西に地震はない!?


 「関西に大地震は起きない」というのが十数年前には半ば常識となっていました。阪神大震災以降は、活断層や地震の知識がある程度普及し、そ のようなことを言う人は少な くなりました。近畿地方は内陸大地震の原因となる活断層が日本でも最も多く分布していますし、古文書や遺跡の調査によって、過去に何度も地震の被害に遭って来たことがわかっています。
 ところで、大きな被害をもたらすような大地震ではなく、日常私たちが身体に感じる地震(有感地震)の数を関東と比較するとどのようになるでしょうか?
 通常マグニチュード3前後より大きな地震であれば、震源の近辺では人が揺れを感じるようになります。昨年1年間に京都市中京区で観測された有感地震の回数は6回で、すべて震度1でした。一方東京都千代田区では85回でした。単に有感地震の回数なら、関西より関東が圧倒的に多いと言うことになります。
 関東地方の地下では太平洋とフィリピン海の2つのプレートがぶつかり合い、深さ数十キロメートルの深い地震が頻繁に発生します。一方、京阪神の直下にはプレートが存在せず、地震は浅いものに限られます。普段地震を感じる機会が少ないとしても、関西における大地震発生の危険性が高いことに変わりはありません。日ごろの地震対策を怠らぬようにしたいものです。

(片尾 浩 ・京都大防災研究所地震予知研究センター助教授)