(おことわり)以下の文章および図は、京都新聞に連載されているものを転載したものです。
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(「京都新聞 2006年(平成18年)10月19日木曜日」に掲載)
毎月掲載している震央分布図を見ると、京都府内では京都市北部の山間部、亀岡市や南丹市あたりで小さな地震が数多く発生しています。これらの地域は、テレビの地震情報などでは「京都府南部」という区域名で呼ばれます。
気象庁は、各地の震度を表す「震度の地域名称」と、震源の場所を表す「震央地名」は別個に区域分けしています。震度は市町村別ですが、震央は緯度経度0.1度(約10キロ)
刻みのブロックで区分しており、行政の境界とはずれています。地震関係の区域は、普段おなじみの天気予報や気象警報・注意報の区域分けとも異なるのです。
ところで、「京都府南部」というと皆さんはどの辺りを想像されるでしょう?筆者はどうしても京都盆地とその南の山地地方をノ思い浮かべてしまいます。「京都府中部」が
ない以上、どこかに南北の境界を引かなければならないわけですが、南丹市美山町まで
もが「南部」だとご存じの方は少ないかも知れません。
気象庁は10月2日に「震度の地域名称」と「震央地名」を一部見直しました。京滋でも若干の変更があり、気象庁のホームページに詳しく記載されています。普段の生活では、地域分けはどっちでもよいかもしれません。しかし、いざ大地震が発生した際に発表される情報を誤解することがないように、一度確認してみることも大切でしょう。
(片尾 浩 ・京都大防災研究所地震予知研究センター助教授)