2001年9月

(「京都新聞 2001年(平成13年)10月18日 木曜日」に掲載)

2001年9月の震央分布図

南海地震の発生確率40パーセント

 今後30年以内に南海地震が発生する確率は40%程度だということが政府の地震調査委員会から発表されました。1995年の兵庫県南部地震の発生確率は地震の前には最大で8%だったことを考えると、この数字はけっして低いものではありません。

 南海地震はフィリピン海プレートが日本列島の下に沈み込むことによって起きる巨大地震です。90年から150年の間隔で繰り返し発生する事が知られています。前回の南海地震(1946年)はマグニチュード(M)8.1で京都府や滋賀県の震度は3−4でした。

 次の南海地震はひとまわり大きく、マグニチュード8.4と予想されていますので、京都・滋賀での震度は4−5になるでしょう。兵庫県南部地震の震度は京滋の南部で5、北部で4でしたから、震度は同じくらいですが、揺れ方はまったく違います。近くで起きた地震の場合は、最初にドーンと下から突き上げるような振動があって、それからユサユサと横に揺れることが多いのですが、南海地震は遠くで起き、かつ巨大な地震ですから周期の長いゆれが長い間続きます。高い建物の揺れはさらに大きくなります。

 さて、最初に述べた「南海地震の発生確率が40%」ということは今後30年間は地震が起きないことを意味するのではありません。備えあれば憂いなしとも言います。あらゆる意味での備えが必要です。

 9月の地震回数は717回でした。この内300回余りは8月25日に京北町で起きた地震の余震でした。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)