(「京都新聞 2001年(平成13年)11月15日 木曜日」に掲載)
滋賀県北西部から京都市に至る有名な花折断層の他に、琵琶湖の西岸には堅田断層、比良断層、饗庭野断層があります。これらを総称して琵琶湖西岸断層帯、又は断層系と呼んでいます。今から340年ほど前の1662年(寛文2年)に湖西を中心にマグニチュード7.5の大地震があり、京滋合わせて800人以上の人が亡くなりました。昔のことですから、この地震が琵琶湖西岸の断層で起きたのか、それより西の花折断層で起きたのか、詳しいことはわかりませんでした。
そこで、地質調査所(現在の産業技術総合研究所)が中心となって平成7年から断層の発掘調査を行いました。調査の方法はトレンチ調査と呼ばれているもので、断層を掘り返して昔の地震の傷跡を見つけ、地震の起こった年代やずれの大きさを測定するのです。
これまでの調査で1662年寛文の地震は花折断層の北半分が活動したこと、一方、琵琶湖西岸断層帯では、ここ2000年以上もの間、地震が起きていないことがわかりました。そこで心配になるのが、次の地震はいつ起こるかということです。残念ながら現在の地震学では何時という決定論的な地震予知はできませんが、政府の地震調査委員会では、それぞれの断層がどの程度危険かということを「地震発生確率」で発表する準備を進めています。
10月の地震数も9月に続いて多く615回でした。このなかには8月25日に京北町で起きたマグニチュード5.1の地震の余震が88回含まれています。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)