2001年11月

(「京都新聞 2001年(平成13年)12月20日 木曜日」に掲載)

2001年11月の震央分布図

想定南海地震による揺れ

 南海地震が近づいて来ますと、西日本の内陸部でも地震活動が活発になり、被害地震が発生するようになります。1995年の兵庫県南部地震や昨年の鳥取県西部地震は、そのはじまりだというのが地震学者の共通した認識です。

 政府の調査委員会でも調査をすすめ、9月には南海地震の発生確率が発表されました。今後30年以内に南海地震が発生する確率は40%だということはこのコラムでも紹介しましたが、40年以内なら60%、50年以内なら80%と加速度的に高まります。想定される地震の大きさはマグニチュード(M)8.4、地震によってできる断層は、紀伊半島の潮岬沖から四国の足摺岬沖まで東西300キロメートルにおよびます。兵庫県南部地震(M7.3)の断層の長さは40キロメートル余りでしたから、長さにして7倍強、エネルギーの比は45倍にもなります。

 京滋は震源からかなり離れていますので壊滅的な被害は免れると思いますが、今月の7日に発表された震度予測によれば、大津市と彦根市で震度5弱−5強です。震度5強ですと、多くの人が行動に支障をきたし、耐震性の低い家屋はかなり破損すると予想されます。京都市は震度4ですが地盤の良くない所では大津市や彦根市と同じ震度になるでしょう。

 11月の地震数は570回でした。京北町および福井県との県境付近に地震がかたまって見えますが、京北町の地震は8月25日の地震(M5.1)の余震と見られ、11月中に70回ありました。県境付近の地震は35回でした。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)