2002年2月

(「京都新聞 2002年(平成14年)3月21日 木曜日」に掲載)

2002年2月の震央分布図

アフガニスタンでM7.3の地震

紛争の続くアフガニスタン北東部で今月3日、マグニチュード7.3の地震がありました。この地域は地震が多いところです。インドの北のヒマラヤ山脈からアフガニスタン北部のヒンドウークシ山脈は、インドプレートとユーラシアプレートがぶつかり合って出来た巨大な山脈です。

ふたつのプレートがぶつかり合ったとき、どちらかのプレートが相手の下に沈み込んでいくのが普通ですが、ここではどちらも沈まないで衝突しているため、大地がどんどん盛り上がって、とうとう世界の屋根と言われるほどの山岳地帯を作ってしまいました。

この衝突のために地殻活動が活発で地震も多く、アフガニスタン北部では1998年の2月と5月にもマグニチュード5.9と6.2の地震が発生し、合わせて6000人以上の死者が出ました。3日の地震は250kmという深いところで起きましたので、地震の大きさに比べると被害が少なかったものの、山が崩れて死者行方不明合わせて150人以上と報告されています。またこの山崩れで川がせき止められ、洪水になっているそうです。

日本でも過去に同じような事が起きています。この近くでは花折断層が活動したとされる1662年の大地震で武奈ヶ岳が崩れ、安曇川をせき止めました。やがて水かさが増し、土砂で出来た堰が崩壊して下流では大きな洪水被害が起きています。

上の震央分布図で、京北町付近の地震活動がめだっているのは去年の8月に起きたM5.1の余震が今も続いているためです。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)