(「京都新聞 2002年(平成14年)8月15日 木曜日」に掲載)
京都や滋賀では、おいしい湧き水が出るところがたくさんあります。このおいしい水は、実は地震によってできた断層から湧き出していることが多いのです。
地震による断層は、大地の深いところにある水脈も断ち切ります。地下深部の圧力は非常に高いものですから、断ち切られた水脈から水が押し上げられるのです。岩盤の隙間をぬってゆっくり上昇してきた水はたっぷりとミネラルを含んで、おいしい水になります。
環境庁が「日本の名水百選」のひとつに選んだ伏見の御香水は桃山断層が起源と見られています。伏見という地名は伏水(ふしみず)からきたそうですが、断層から湧きでる水を意味しているのかも知れません。
地震そのものはやっかいものですが、その結果として出来る断層から、私たちはいろいろな恵を受けています。
今月から、地震の分布をのせる地図を山と平野、盆地がわかるようにしました。新しい図で見ますと、微小地震は平野よりも山地に多いことがわかります。
7月16日夜8時9分頃、京都市の北西の清滝付近でマグニチュード4.2の地震があり、京都市中京区や亀岡市などで震度3を観測しました。この地震に続く余震は7月中に23回ありました。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)