(「京都新聞 2003年(平成15年)1月16日 木曜日」に掲載)
昨年、地球上で起きたマグニチュード7以上の地震は13回ありましたが、マグニチュード8を越える地震は1回もありませんでした。過去100年間の平均ではマグニチュード7以上の地震は年に19回、そのうちマグニチュード8以上は年に1回起きています。昨年の地震は少な目だったことがわかります。
13回のうち12回までが西太平洋の縁で起きています。この地域では、4月1日のニューギニアの地震(M5.9)で36人、3月5日のミンダナオ島の地震(M7.5)で15犠牲者を出した他は10人以上の犠牲者を出した地震はありませんでした。
一方、アフガニスタン、イラン、トルコと言った国々ではマグニチュード7以上の地震は1回だけだったのもかかわらず、多くの犠牲者が出ています。特に人的被害の大きかったのは3月25日にアフガニスタンで起きたマグニチュード6.1の地震で、犠牲者は1000人を越えました。
地震に対する考え方や防災に対する取り組み、備えの違いが犠牲者数の違いに現れているように思えます。昨年1年間に地震で亡くなった人は世界中で1690人でした。
京滋では、震源の決められた地震は昨年1年間で5648回でした。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)