(「京都新聞 2003年(平成15年)4月17日 木曜日」に掲載)
先月京滋を中心として、第3回世界水フォーラムが開催され、さまざまな観点から人と水とのかかわりについて話し合われました。
実は、水は地震とも深い関係にあります。地震そのものの巨大なエネルギーは、地球規模のプレート運動によって蓄積されるのですが、地震を起こすきっかけ(トリガー)に水が関係しているらしいのです。
1962年、アメリカ、コロラド州デンバーで、工場廃水を地下3700mの深井戸に、圧力をかけて注入したところ、もともと地震の無いこの地域で、小さな地震が起こり始めました。
翌年、水の注入をやめると地震も起こらなくなりましたが、その翌年、注入を再開するとまた地震が起きだしたのです。最大でマグニチュード5.2の地震も起こりました。
この事件を契機として、地震と水との関係が注目されるようになり、日本でもこの種の実験が行われました。圧力の高い水を岩盤に浸透させると地震を引き起こすことから、水が地震のトリガーになりうることがわかりました。
3月の地震回数は311回と、やや少なめでした。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)