2003年5月

(「京都新聞 2003年(平成15年)6月19日 木曜日」に掲載)

琵琶湖西岸断層帯(1)地震確率

琵琶湖西岸断層帯で、今から30年以内に大地震が発生する確率は9%と、今月11日に政府の地震調査委員会が発表しました。

地震発生確率を計算するには、その断層で起きる大地震の「繰り返し間隔」と前回に起きた大地震は「いつだったか」の2点を知る必要があります。歴史上の記録がない場合は断層を掘削し、地震の跡を見つけ出して、年代を測定しますが、これがなかなかピタッとは決まりません。

琵琶湖西岸断層帯も掘削調査の結果、繰り返し間隔は1900年から4500年、前回の地震は2400年前から2800年前の間、というように年数にかなりの幅がありました。そのため、データの信頼度は「やや低いCランク」でした。

断層で起きる大地震の発生間隔は、陸域ではふつう数千年と長いため、30年という人間の1世代の間に、その断層で大地震が発生する確率を計算しますと、どうしても数値は小さくなります。

1995年の兵庫県南部地震をひき起こした野島断層について、地震が発生する前に立ち返って同様の発生確率を計算したところ最大で8%でした。これらのことを考え併せますと、琵琶湖西岸断層帯の9%は「数値は小さいが発生の危険性は高い」と言えます。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)