(「京都新聞 2003年(平成15年)7月17日 木曜日」に掲載)
琵琶湖の西岸には、一番北の知内断層から南の膳所断層まで9つの断層が帯状に連なっています。これらをひとまとめにして琵琶湖西岸断層帯と呼んでいます。
この断層帯で「M7.8級地震の可能性」と、先月の京都新聞でも紹介されましたが、マグニチュード7.8の大地震になるのは、9つの断層が連動していっせいに活動する場合です。それぞれの断層が単独で活動した場合はマグニチュード6.2―6.8の地震にとどまります。
単独で地震が起こる可能性も、連動して起こる可能性も両方ありますが、数珠つなぎになっている断層帯は連動して活動しやすいことが、過去の例からも知られています。その理由のひとつに、地表では別々の断層に見えても地下深部ではつながっている事があるからです。
これら西岸の断層帯ばかりでなく、比良山系の西の花折断層とも、もっと深いところでつながっている可能性が指摘されています。これらを確かめるため、私たちは3カ年計画で京都―滋賀の断層深部構造の調査を行うことにしています。
なお、9つの活断層の詳しい位置は岡田篤正・東郷正美編「近畿の活断層」(東京大学出版会)にあります。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)