2003年9月

(「京都新聞 2003年(平成15年)10月16日 木曜日」に掲載)

2003年十勝沖地震

9月26日早朝、マグニチュード8.0の十勝沖地震が起きました。北海道を乗せている北米プレートの下には太平洋プレートが沈み込んでいますが、今回の十勝沖地震はこのふたつのプレート境界がずれたことが原因です。

この地域では過去にもプレート境界の巨大地震が起きています。1952年3月4日に起きたマグニチュード8.2の地震では、死者・不明あわせて33名、全半壊1千棟以上という被害を受けました。

それから半世紀余の間、陸側の北米プレートは太平洋プレートに引きずり込まれていましたが、今回の地震で一挙に1.3メートル跳ね返りました。逆に海側の太平洋プレートは1.3メートル沈み込みました。ずれた面積、すなわち断層の面積は80キロメートル四方と推定されています。

政府の地震調査委員会は、十勝沖地震が30年以内に発生する確率は60%と、今年の3月に発表していました。おなじく30年以内の発生確率40%と予測されている南海地震も油断はできません。

気象庁は9月から地震のマグニチュードの決め方を変えました。上の図は新しい方式に従って描かれています。気象庁のマグニチュードの決め方変更については、またあらためてお話します。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)