2003年12月

(「京都新聞 2004年(平成16年)1月15日 木曜日」に掲載)

イラン南東部の地震 耐震性で悔やまれる

イラン南東部で12月26日、現地時間の午前5時26分、マグニチュード6.5の地震が起きました。古代からシルクロードの要衝の地として栄え、砂漠のエメラルドと呼ばれているバムの町が一瞬にして瓦礫の山と化しました。家屋の70-80%が倒壊し、人口の3分の1にも及ぶ4万人以上の人命が失われたと伝えられています。

地震がバム市の直下で起きたこと、耐震性の低い日干し煉瓦で造った家が多かったこと、早朝であったためほとんどの人が就寝中か家の中に居たことが、多くの死者を出した原因といわれています。

イランも日本と同じくプレートの境界にあり、地震多発国です。ユーラシアプレートに乗っているイランは南西からアラビアプレートに押され、年間3cmほど縮んでいます。そのため大地が盛り上がり、ザクロス山脈が形成されています。ここがイランの地震多発地帯です。今回の地震はそれより少し南東部で、イラン国内では地震の比較的少ないところでした。そのため古代の城跡「アルゲ・バム」が残っていたのでしょう。

 地震が直下で起こることは避けられないことですが、日干し煉瓦にもう少し耐震性を持たせることは出来なかったのかと悔やまれます。

なお、マグニチュードはMagnitude の頭文字を取ってMと記します。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)