2004年2月

(「京都新聞 2004年(平成16年)3月18日 木曜日」に掲載)

マグニチュード 決め方

地震のマグニチュードは、リヒターの定義により震源距離100kmのところで記録された地震波から決めることになっています。しかしいつも100kmのところに地震計があるとは限りませんので、それ以外のところで観測された地震波の振幅は100kmのところの振幅に換算する必要があります。

換算式を作る研究は各国で盛んにおこなわれたのですが、アメリカと日本、ヨーロッパやロシアで、換算式の係数が少しずつ違うこともわかってきました。ユーラシアや北米のような安定大陸では固い岩盤を地震波が通ってきますので、距離による波の減り方が少ないのですが、日本のような変動帯では波が早く減衰します。

こういうわけで国によってマグニチュードを求める式が違っています。日本のマグニチュードは気象庁が決めますのでMJMA と書き、ジェイ・エム・エイ・マグニチュードと呼んでいます。アメリカはMLと書いて、ローカル・マグニチュードあるいはリヒター・スケールと呼ばれ区別されています。

ひとつの地震にはひとつの値のはずのマグニチュードが、こういう事情で国によって少しずつ違っています。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)