(「京都新聞 2004年(平成16年)4月15日 木曜日」に掲載)
地震のマグニチュードは固有周期0.8秒の地震計で記録した地震波から決めることになっています。
周期はブランコに例えれば、揺らしたときの往復に要する時間のことで、固有周期はブランコの長さによって決まる周期のことです。地震計も同じように固有の周期があります。
固有周期より短い周期の地震波に対して地震計は正しい波形を記録しますが、逆に地震波の周期が固有周期より長くなりますと感度が落ちてしまいます。
一方、地震は大きくなるほど長い周期の波が出てきます。マグニチュード(M)6ですと周期が1秒の波、M7では4秒、M8になりますと14秒もの周期を持つ地震波が発生します。
従って固有周期0.8秒の地震計で正確に記録できるのはM6くらいまでです。この地震計で観測している限り、M7やM8の大地震が起きても、M6としか算出できません。こういう事態をマグニチュードの頭打ちと言っています。
かつて固有周期の短い地震計しかなかった頃は、M8を越える地震は存在しないと思われていたこともありました。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)