(「京都新聞 2005年(平成17年)1月20日 木曜日」に掲載)
スマトラ沖地震による大津波は、インド洋周辺国に甚大な被害を与えました。スマトラ島やマレー半島が乗っているユーラシアプレートが、長さ1000km、幅150kmにわたって西へ7〜10mずれたのがこの地震の原因です。
西へずれるのと同時に海底のプレート先端部が跳ね上がりましたから、海水も長さ1000kmにわたって盛り上がり、大津波になりました。
一方、先端部が跳ね上がった反動で陸側(東側)が少し沈降しました。このため東側のスマトラ島やタイのプーケットでは、最初の津波は“引き波”、つまり海水が引いた状態になりました。このことも海辺にいた人々を油断させたようです。
引き波の後には必ず“押し波”が襲ってきます。南海地震もスマトラ沖地震と同じプレート境界で起こる巨大地震ですので、最初に”引き波”が到達する地域があります。大きな揺れを感じたら、たとえ海の水が引いても急いで高い所に避難しなくてはいけません。
12月の京滋の地震回数は342回と前月に比べて増えましたが、その多くは12月1日の花折断層南端部の地震の余震でした。丹波山地全体の微小地震の数は依然少ない状態が続いています。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)