2005年2月

(「京都新聞 2005年(平成17年)3月17日 木曜日」に掲載)

地震活動の活発化と静穏化の原因

丹波高地の微小地震活動は,この30年間を見てみますと,数年ごとに活動期と静穏期を繰り返しています.

活動期にはマグニチュード5クラスの地震が起きることがありますが,今は静穏期で2003年の初め頃から地震の少ない状態が続いています.

なぜこのような変化が起こるのでしょうか.その原因に定説はありませんが,研究者の多くは“水”が関与していると考えています.

水といいましても,地下20〜30kmの深さで,温度はセ氏300〜500度,圧力も500から800メガパスカルですので,日常私たちが目にする水とは様相が違います.非常に溶解度が高く,周りの岩石さえもその一部を溶かし込んでいますので,高温高圧流体と呼ぶべき状態になっています.

こういう圧力の高い流体が岩盤の小さな割れ目に入り込みますと,岩盤が滑りやすくなって地震が起こることは以前に解説したとおりです.

地震が起こりやすくなるこの状態が,地震の活動期に相当すると考えますと,説明には好都合なのですが,そのような水が地球の深部からどのように供給されるのか.長年研究者が頭をかかえてきた大きな問題です.

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)