2005年3月

(「京都新聞 2005年(平成17年)4月21日 木曜日」に掲載)

福岡県西方沖の地震

先月20日の福岡県西方沖の地震では玄海島などで大きな被害が発生ました.

今回の震源域では有史以来,被害地震の記録はなく,活断層も確認されていませんでした.政府の地震調査委員会が発表した「地震動予測地図」でも,今後30年以内に震度6弱に見舞われる確率は0.1%未満という数値の小さい地域になっていました.

にもかかわらず,このような大きな地震が起こったことで,私たちはもう一度日本列島の地震活動の現状を見直す必要があります.

日本の古い地震記録は1500年以上もさかのぼることができますが,それでも数千年という活断層の活動間隔には及びません.歴史記録に無くても,その地域で大地震が起きていたかも知れないのです.

また活断層と認められるには,地震でできた断層が数千年間,その痕跡を残していることが条件です.

このような事情を考えますと,歴史上被害地震が無い,あるいは活断層が確認できないからと言って決して安心できないということです.

変動帯にある日本列島では,どこで地震が起きても不思議ではありません.ふだんの備えをすることが肝要です.

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター長)