(「京都新聞 2005年(平成17年)5月19日 木曜日」に掲載)
スマトラ沖では,昨年12月のマグニチュード9.0の地震に続いて,3月にもすぐ南隣でマグニチュード8.7の巨大地震が発生しました.いずれもプレート境界で起きた巨大地震ですが,プレート境界では,地震が境界を埋め尽くすように次々と起きていくことがあります.
スマトラ沖でも1800年代にいくつもの巨大地震が発生し,プレート境界を埋め尽くしたことが知られています.
今世紀に入って,2000年のマグニチュード8.0の地震を皮切りに,すでに3回の巨大地震が起きています.ところが,この3回の地震に挟まれるように,地震の起きていない領域があります.最近起きた地震は北から順位に,昨年暮れの地震,すぐ南で起きた3月の地震,1領域飛ばして,その南で起きた2000年の地震です.
このひとつ飛ばしの領域では1833年にマグニチュード8.7の地震が起きて以来,170年あまり地震が起きていません.こういう領域を「地震空白域」と呼んでいます.巨大地震を引き起こす能力を持った領域ですので,研究者は注意を呼びかけています.
京滋の地震は,目だった活動はありませんでしたが,地震数は先月より少し増え,312回でした.
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター教授)