(「京都新聞 2005年(平成17年)7月21日 木曜日」に掲載)
津波は地震に伴う海底地殻変動によって引き起こされますが、地震が起こる前に海水が引いてしまった例があります。
今から約130年前の1872年(明治5年)に起きた「浜田地震(マグニチュード7.1)」のときです。地震が起こる5分から10分前に、海水が急に2mほど引きました。地震前の地殻変動によって海底が隆起したためです。
潮の満ち引きは月や太陽の引力によって、日に2回繰り返されます。この規則的な潮位変化とは著しく違った潮の変化があると、漁師さんたちは「潮が狂う」などと言うそうです。南海地震の前にも紀伊半島から四国の太平洋沿岸で、この「潮が狂う」現象が見られたそうです。海岸で海水の異常な変化があれば、地震の前ぶれかもしれません。警戒が必要です。
京滋の地震回数は3月以降微増していましたが、6月には291回と、また減ってしまいました。地震活動だけでなく、地殻のひずみや地下水にもわずかながら異常が現れています。
異常があっても大きな地震に至らず、緩やかに異常が終息するケースが多いのですが、異常が続いている間は注意が必要です。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター教授)