2005年7月

(「京都新聞 2005年(平成17年)8月18日 木曜日」に掲載)

丹波山地直下の水の起源

圧力の高い水が岩盤の隙間に入り込むと地震を引き起こしやすくなること、その水が丹波山地の地震活動の活発化・静穏化もコントロールしているらしいことを、以前このコラムで書きました。

しかし地震が起こっている20kmよりも深いところに果たして水が存在するのか?これが大きな疑問だったのです。

この疑問を解決するため、昨年私たちは紀伊半島南端から若狭湾にかけて、2000台以上の地震計を設置し、大規模な地下構造探査を行いました。

その結果、丹波山地の直下60kmくらいの深さのところに地震波を跳ね返す層があることがわかりました。私たちは、この層をフィリピン海プレートの一部分と見ています。

プレートは元々水やガスを含んでいますので、60km付近まで沈み込むと、水やガスが熱せられて膨張し、上昇し始めると考えられています。どうやらこの水が丹波山地の小さな地震の引き金になっているらしいのです。

7月の地震回数は332回と前月より増えましたが、そのうち40回余りは、7月3日に姫路市で起きたマグニチュード3.4の地震とその余震でした。丹波山地の地震数は増えていません。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター教授)