(「京都新聞 2005年(平成17年)10月20日 木曜日」に掲載)
パキスタン北東部で10月8日マグニチュード7.7の地震が発生し、犠牲者4万人を超す甚大な被害が出ています。この地域は北側のユーラシアプレートと南側のインド・オーストラリアプレートがぶつかり合う境界にあたるため、大きな被害を伴う地震が多いところです。
地震波形を解析した結果、今回の地震は地下10kmのところから破壊が始まり、北東側と南西側の両方に向かって破壊が拡大していったことがわかりました。およそ30秒かけて長さ80km幅15kmの断層が形成されました。
特に南東側の浅いところでの断層のずれが大きかったため、その直上のムサファラバードでは大きな被害が出ています。
断層の南東端はインドとの境界付近に達しており、破壊の進行方向に当たったインドのウリでも大きな被害が発生しています。
被害の大きさは建物の耐震性や地盤にもよりますが、このように地震の破壊過程(断層の形成過程)にも大きく関係していることがわかってきました。
京滋の地震回数は7,8月と微増傾向にありましたが、9月は296回とまた減りました。
(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター教授)