2006年2月

(「京都新聞 2006年(平成18年)3月16日 木曜日」に掲載)

地震波の伝わり方

先月、地震波の縦波や横波は下からやってくると書きましたところ、「なぜ下からくるのか」「神戸で起きた地震の波は、京都や滋賀へは神戸からまっすぐ伝わってきたのではないでしょうか」という質問を受けました。

鋭い質問です。実はまっすぐ横方向から伝わってくる第3の波があるのですが、その前に先月説明しましたP波とS波がなぜ下から来るのかについてご説明します。

地下で地震が起こりますと、その波は四方八方に伝わります。最も早く伝わる波は最短距離ではなく、最短時間になるように進みます。

地震波の速度は地表近くでは遅く地下深部のほうが早いですので、震源から四方八方に出た波のうち、いったん地球の中に深く入り込んでから、上に向かって出ていく波のほうが最短時間になります。ですから、最初のP波や次のS波はほとんど真下からやってくることになるのです。

一方、まっすぐ横方向から来る波は地表を伝わってきますので「表面波」と呼ばれています。これが第3の波で、速度が遅く、後からきます。

南海地震のように遠くで起きる大地震では表面波が大きくなり、京滋でも大きな被害をもたらすことがあります。

先月の地震回数は213回で、そのうち15回は岐阜県西部の地震とその余震でした。丹波山地の地震は依然低調です。

(梅田康弘・京都大防災研究所地震予知研究センター教授)