満点計画

<「満点計画」とは?>
 この世の中で起こっている色々な現象の真の姿を明らかにする上で,その現象に関するデータの質と量は決定的に重要な鍵となります.ところが,地震予知に関する分野においては,これまでは.十分なデータを得ることができなかったため,例えば,医学分野において,CT(Computerized Tomography)による「断層」写真はガンの早期発見などに大活躍していますが,地震学におけるSeismic Tomographyは,現在のところ,内陸地震の震源断層を明確に捉えるだけの精度や分解能を持っていません.
 そこで,我々は,地震データの量と質を飛躍的に上げるために,多点で高精度かつ容易に地震を観測できる安価な次世代型の地震観測システムを開発しました.これにより,機材さえ揃えば,万点規模の観測網を構築可能となりました.
 このシステムは地震観測の一つの理想像に近いので,我々はこれを「満点システム」と名付けました.そして,「満点システム」を活用して,地震の観測点数を飛躍的に増やす計画「満点計画」を始めました.「満点計画」は,具体的な研究プロジェクトに対応するもののではなく,これまでとは桁違いに観測点数を増やそうとする試み全般や,その背景にある哲学や思想のことを指しています.「満点計画」は,次世代型稠密地震観測と言い換えることが出来ます.


<今後の展望>
 「満点計画」により,これまでよく分からなかった内陸大地震の震源断層の実体や発生の仕組みが明らかになり,その長期的な発生場所や発生時,および強震動の予測の高度化が可能となると期待されます.また,火山における観測においても,火山体の微細な構造が明らかとなり,マグマの上昇経路およびその上昇過程の実態が明らかになって,より精度の高い火山噴火予知が可能となると期待されます.
 また,このシステムは取り扱いが容易なことなら,例えば,修士課程の学生でも,従来の大規模観測に匹敵するような,数十点の地震観測に基づく研究を行うことが可能であると考えられます.

 近畿地方におけるより具体的な計画については,こちら(地殻応力天気図作成計画)を参照ください.


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