for Ver.3.9.0

by Hiroshi P.KATAO on DEC20,1999

 HyperDPRImapTMはMacintosh上でインタラクティブに地震活動解析を行なうためのアプリケーションです。京大防災研の微小地震観測網や気象庁の震源データを基に、震央マップ、断面図、時空間分布等々の図を作成することができます。

(注)***HyperDPRImapの2000年問題について***


=====目次=====
  動作環境
  開発環境
  著作権について
  インストール&構成
  HyperDPRImapの基本操作
  コマンドリファレンス
  Special Plotについて
  その他

=====動作環境=====
 HyperDPRImap3.9.0PPCはCPUとしてPowerPCを備えたApple Macintoshで動作します。OSは、漢字Talk7.5.5、MacOS7.6、MacOS8.6で動作確認済。Application Memory Sizeはデフォールトで2048Kです。通常Application Memory Sizeを増やす必要はありません。
 全てのデータを格納するためには20MB以上のハードディスク容量が必要です。また、処理中に一時出力ファイルを作成するので、広範囲長期にわたる解析にはさらに10MBほど必要です。ただし、データセットや解析範囲を限定すれば、はるかに小さな容量で動作します。
 68KCPU用(HyperDPRImap3.2.3-68K)も用意されていますが、3.2.3とかなり前のバージョンに相当するものです。高速に動作させるためにPowerPC環境での使用をお薦めします。例えば約24000個の地震の検索&表示に、PowerMac7300(PowerPC604e,166MHz)上でPPC Nativeアプリは約10秒かかりますが、iMac(PowerPCG3,333MHz)では同じ動作は約4秒!で終了します。68K実装機種のMacQuadra650(68040, 33MHz)でHyperDPRImap3.2.3-68Kを用いると約40秒もかかってしまいます。

=====開発環境=====
PowerMacintosh7300/166 (KT7.5.5)
CodeWarrior10 + ResEdit 2.1.3

====著作権について====
 HyperDPRImapはフリーウェアです。営利目的以外の使用や配布は自由です。
 ただし、震源データは京都大学防災研究所地震予知研究センターが著作権を有します。論文や学会発表に利用する場合は、本センター微小地震観測網責任者の許可を得た上、京都大学防災研究所地震予知研究センターの震源データを使用した旨明記するようお願いします。

=====インストール&構成=====

HyperDPRImapのアブリケーション本体と同じ階層に以下のファイルおよびフォルダを配置します。全てのデータが揃っている必要はなく、必要に応じて取捨選択可能です。アプリ本体は、
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/‾katao/macsoft/DPRImap.cpt.hqx
から、最小限のデータファイル("dprimap.com"、"DPRImap.MAP"、"DPRImap.KYO"、"DPRImap.FLT"およびバイナリデータの例として"DPRI:dpri93.bin")は、
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/‾katao/macsoft/mindat.cpt.hqx
から取得できます。その他のデータについては口コミでお願いします。

dprimap.com:
 デフォールトのパラメータ設定ファイル。アプリケーション起動時に読み込まれるテキストファイル。よく使う設定を書き込んでおくとよい。テキストファイルなのでTextEditorで編集可能。これが無い場合、アプリケーションが仮の値を設定する。
DPRImap.MAP:
 海岸線および主な湖の地図データ。小笠原、西表島、石垣島、宮古島等の離島、および中禅寺湖、六甲アイランド、ポートアイランド、関空島等を追加。朝鮮半島、台湾、サハリン南部、沿海州、中国大陸東縁も荒い精度ながら加えてある。最新版は1996年9月12日版。これが無い場合何もできない。
DPRImap.KYO:
 日本の県境データ。海上の県境は極力除いた。最新版は1996年9月12日版。
DPRImap.FLT:
 活断層データ。1980年版「日本の活断層」に準拠。最新版は1994年5月4日版。
DPRImap.FLT2:
 活断層データ。1991年版「新編日本の活断層」に準拠。最新版は1995年10月2日版。
DPRImap.SEA:
 活断層の代わりに海底地形を表示するための等深線データ。200m、500m、1000m、2000m以下1000m毎。最新版は1996年3月2日版。3.4MBと巨大なファイルなので描画に少々時間がかかる。
DPRImap.STA:
 観測点リスト。観測点コード(5文字まで)、経度、緯度、高度(m)の順にフリーフォーマットで記述。テキストファイルなのでTextEditorで編集可能。臨時観測点や観測点以外のポイントなどユーザーが自由に追加編集してかまわない。(Ver.3.6.5より任意の名前のファイルを読み込めるようになっている。)書式例は、

ABU  135.574  34.860   138
MYO  135.471  34.925   640
TNJ  135.214  35.031   310
 ........

DPRImap.USR:
 ユーザーが自由に追加できる震源データ。テキストファイルなのでTextEditorで編集可能。臨時観測データやバイナリに編集される前の最新データ等をプロットするのに使える。(Ver.3.6.5より任意の名前のファイルを読み込めるようになっている。)書式は、
 78 07 15  2 30 22.55  34.250  135.000  10.00  3.0
 79 05  8 23 41 33.01  35.038  134.768  15.76  1.3
 80 07 25  4 52 44.02  35.512  136.163  23.01  5.1
 ........
というように、年月日時分秒、緯度、経度、深さ(km)、マグニチュードを列挙します。フリーフォーマットで読みこみますので、各々の値はひとつ以上のスペース(半角)またはタブで区切って下さい。
(注)ユーザー震源データは時刻順に並んでいることを想定しています。ファイルの途中であっても「終了時刻」以降のデータを見つけるとそこで読み込みが終わってしまいます。
DPRIフォルダ:
 京大防災研統合震源データ(THANKS)を入れておきます。THANKSは西南日本内帯に位置する4観測所(阿武山、鳥取、北陸、上宝)の微小地震観測網の震源データを松村一男助教授がコンパイルしたもの。現在1976-1998の期間(3.7MB)が使用可能。
 dpri76.bin, dpri77.bin,,,,,,dpri98.bin等年別に分割されたファイルになっており、高速に読み込むためにバイナリー形式で作成されている。
ABUフォルダ:
 京大防災研阿武山系微小地震観測網単独の震源データを入れておくフォルダ。abu76.bin, abu77.bin,,,,,,abu98.bin等年別に分割されたバイナリーファイルになっている。現在1976-1998の期間が使用可能。
TTTフォルダ:
 京大防災研鳥取系微小地震観測網単独の震源データを入れておくフォルダ。ttt65.bin, ttt66.bin,,,,,,ttt96.bin等年別に分割されたバイナリーファイルになっている。現在1965-1996の期間が使用可能。
JMAフォルダ:
 気象庁の震源データを入れておくフォルダ。データは地震月報(1994年以前)、速報震源(1995年以降)から取得。jma26.bin, jma27.bin,,,,,,jma98.bin等年別に分割されたバイナリーファイルになっている。現在1926-1998の期間(10.4MB)が使用可能。
JUNECフォルダ:
 JUNEC(国立大学観測網地震カタログ)の年別バイナリーファイル。全国の大学観測網の読み取り値から再決定された震源。現在1985-1993の期間(2.2MB)が使用可能。
DPRImap.PLT:
"Special Plot"(観測点リストの代替)として様々な描画コマンドを書きこんだファイルを読み込み、震央マップに追加できる。テキストファイルなのでユーザーが自由に描画コマンドを編集可能。現在は暫定的なもので「#1 Plot & Sort」でしか使用できない。 「Special Plotについて」参照。(Ver.3.6.5より任意の名前のファイルを読み込めるようになっている。)
DPRImap.MAP.Ph & DPRImap.FLT.Ph:
フィリピンの海岸線および活断層のデータ。グレンダベサナ氏作成。最新版は1997年5月16日および1997年7月10日版。各々"DPRImap.MAP"、"DPRImap.FLT"と名前を入れ替えて使用する。

(注)"DPRImap.USR"、"DPRImap.STA"、"DPRImap.PLT"の3つ以外はファイル/フォルダ名を変更することはできません。

 このアイコンで表示されるのはバイナリー形式のファイルです。ユーザーによる編集は不可能です。基本的にHyperDPRImap作成者から各データセットの更新状況に応じて作成&提供するものです。
 このアイコンで表示されるのはバイナリー形式の暫定版の震源ファイルです。震源データの編集が完全には終わってないなどの事情で「暫定版」となっているものです。後日改訂されますので注意してください。
 このアイコンで表示されるのはテキスト形式のファイルです。TextEditorで編集可能です。ワープロで編集した場合、「テキスト」として保存することを忘れないでください。(アイコンは編集したEditorのものや、白紙のものに変わっても問題ありません。)
 このアイコンで表示されるのはPICT形式のファイルです。"Save as PICT..."により作成されます。一般のGraphicソフトで開くことができます。


=====HyperDPRImapの基本操作=====

1)HyperDPRImapをダブルクリックして起動する。
 Startup表示の後、白紙の"PageView"ウィンドウ(モニターサイズに自動フィット)が
 表示されます。HyperDPRImapはこの上に色々な図を描きますが、これはA4サイズの
 印刷結果を縮小イメージしたものです。

2)Settingsメニューでパラメータをセットする。
 データセットの選択、地域、深さ、期間、マグニチュード等のデータの切り出し範囲。
 活断層や県境の表示の有無を指定します。

3)Commandメニューから、「#1 Plot & Sort」を選ぶ。
 Settingsメニューで指定された範囲の地図および震央およびSorting領域が、
 "PageView"ウィンドウにプロットされる。
 Sortingされたデータは、「dprimap.tmp」という一時ファイルに保持される。

4)3)でSortingした結果を基に、次の解析に進みます。
 CommandメニューおよびSpecialメニューから各種の作図(震央分布、断面図、
 時空間分布、M頻度分布、積算曲線等々)、データの出力等を行ないます。

5)いつでもPageViewウィンドウに表示中の図を印刷したり、PICTファイルとして
 保存できます。

6)FileメニューのQuitを選ぶか、PageViewウィンドウのクローズボックスをクリック
 すれば、HyperDPRImapは終了します。

詳細は、コマンドリファレンスを参照してください。

=====コマンドリファレンス=====

メニュー項目ごとの詳しい説明です。
   
Fileメニュー
   Editメニュー
   Settingsメニュー
   Commandメニュー
   Specialメニュー

=====Special Plotについて=====

 Ver.3.4から、Stationリストの代わりにSpecialPlotコマンドを連ねたテキストファイル(デフォールト設定では"DPRImap.PLT"という名のファイル)を読み込んで震央図にユーザーが自由に追加図形/文字を描くことができるようになりました。例えば右図のようなネットワーク図を簡単に描くことが可能です。ただし現在は"#1 Plot&Sort"でしか機能しません。
Special Plotコマンドの機能と書式一覧へ

=====その他=====

(注)他の一般ソフトと同じく、HyperDPRImap系のアイコンで表示される書類をダブルクリックしても、HyperDPRImapアプリケーションが起動します。しかし、特定の書類をダブルクリックして起動すれば設定が変化するということはありません。(例えばjmaデータをダブルクリックして立ち上げると、defaultでデータセットがJMAになる、といったことはありません。当然PICT書類をダブルクリックしてもその内容は表示できません。)Drag&Dropにも対応していません。

(注)期間指定を間違えたため"dpri75.bin"とか"junec84.bin"といった存在しないファイルにアクセスにいった場合、Alert(右図)をだしてどのファイルが無いのか表示し終了します。パラメータ設定やファイルの有無をチェックして下さい。
 例えば1998年までのバイナリーデータに1999年のユーザーデータを加えて解析したい場合、終了時刻を1999年内に設定しなければならないが、1999年のバイナリーデータが存在しなければその時点で終わってしまう。これを避けるには、空のファイルに"xxx99.bin"といった名前のダミーファイルを作ってデータフォルダーに入れておけばよい。

HyperDPRImapの2000年問題について
 Ver.3.9.0で暫定的にY2K問題に対応しました。あいかわらず年のデータとして西暦の下2桁しか使っていませんが、とりあえず00年〜09年は2000年〜2009年に読み代えるようにしました。(^_^;) したがって解析可能な年代は1910年〜2009年の100年間となります。SettingメニューのTime Range...やユーザ震源データ"DPRImap.USR"には「年」のところに「00」(2000年)とか「01」(2001年)とかを入れて下さい。同様にバイナリーデータの名前も"xxx00.bin""xxx01.bin"となります。
 2010年正月までには、年を4桁にし歴史地震にも対応しようと思います(問題先のばし!)。9999年12月までには10000年問題に対応しなくっちゃ(^o^)。

バグリポート
 バグを発見された方、「こんな風にしたら、もっとええのにィ」という意見のある方は作者宛ご連絡下さい。宛先は、

611-0011宇治市五ヶ庄
京都大学防災研究所地震予知研究センター
              片尾  浩
    Phone:  0774-38-4237 Fax:  0774-38-4239
    E-mail: katao@rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp

先頭に戻る。